自律化とは~スマート製品4つの段階~

IoT

愛知県稲沢市在住の【中小企業診断士✖️IoTプロフェッショナルコーディネーター】が、ものづくりの楽しさをお伝えする《がちゃラボ》です。

今回はポーター教授たちが唱えた『スマート製品4つの段階』の最後の段階である「自律化」について考えてみたいと思います。4つの段階とは、「見える化(監視、モニタリング)」「制御」「最適化」「自律化」のことでした。その中で、「自律化」は最後の段階となります。スマート製品のゴール、目指すところですね。

4つの段階については、以下の記事もご参照ください。

スマート製品4つの段階
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一般的な『自律化』の意味は?

自律という言葉を辞書で引くと、

①他からの支配や助力を受けず、自分の行動を自分の立てた規律に従って正しく規制すること。 「学問の-性」
② 〘哲〙 〔ドイツ Autonomie〕 カント倫理学の中心概念。自己の欲望や他者の命令に依存せず、自らの意志で客観的な道徳法則を立ててこれに従うこと。

weblio辞書 より引用

と書かれています。

①のとおり、自律するというのは『自分の行動を自分で立て』『それに従い規則正しく行動する事』であり、そういう状態であることを【自律化】した状態と言います。

”自動化”とはどう違うの?

ここで、よく「自動化」と混在する人がいますが、同じくweblio辞書によると自動化とは、

人手によらず、機械やコンピューターで行うようにすること

weblio辞書より引用

とあります。工場で大量に同じ製品を作ることをイメージしてもらえればいいですが、機械やコンピューターを作って、半永久的に同じ行動を繰り返すことが可能な状態を「自動化」した状態と言います。

これは自律化の解説にある『規則正しく行動する事』と同じことですが、『自分の行動を自分で立て』という点で、自律化と自動化は大きくその意味が異なるのです。

スマート製品における自律化とは?

さて、それではスマート製品における自律化を考えていきましょう。

スマート製品における自律化とは、以下の状態であることを指します。

人間からの指示を受けずに自分で判断して行動する機能のことで、事前に「教え込む」ことが不要。こういう状態にしたい、と目標のみを与えるだけで、人間のように判断して行動する。

前述の工場の自動化の場合、人間は作業には介在しないのですが、手順や基準は事前に人間が考え機械に情報として与える必要があります。

例えば、ネジという部品が流れてきたら、ドライバーという工具を使って、板を張り付けて製品を作る、そして隙間が0mmという基準をクリアしたら完成品として梱包工程に流す、などです。

しかし、自律化の場合は事前に「教える」ということが不要です。こういう規格のこういう製品を作りたい、とか、目標とする状態や形状などを与えることで、機械が勝手に手順を決め勝手に加工してくれるわけです。

それはまるで人間が考えているかのように、機械やコンピューターが自分で判断して行動に移してくれるのです。

ものすごく簡単に言うと、自律型のロボットを思い浮かべてください。

極端ですが、自律型のロボットの例を挙げると

  • 少年のピンチを何度も救ってくれる青色のロボット
  • 人類の滅亡を企てるロボットと、それを助け最後には溶鉱炉に沈んでいくロボット

などありますが、いずれも目標・目的だけ与えられて、それを実現するための行動はロボット自身が考えています。

自律化を支える技術=人工知能(機械学習)

ではこの自律化は、どのような技術で成り立っているのでしょうか。

それは人工知能(AI)や機械学習と呼ばれる技術です。今がどんな状態であり、そしてどのような状態に導きたいのか、それを無数のパターンを使い学習することで、最適な手段・手法を機械自身が考えるのです。

それにより、あらゆる状況に応じて最適な行動ができるようになります。

例えば、ソニーが開発したaiboは、たくさんのセンサーから得られた情報をクラウドを通じてAI技術により認識・解析を行います。そしてユーザーとの触れ合い(センサーからの入力)に応じて、その振る舞いはより人間が望む(最適な)ような形に変化するとされています。よりペットに近くなったと言えますね。

機械学習やクラウドと言った技術の進化に支えられて、スマート製品の自律化は日々急激なスピードで進んでいます。人型のロボットの誕生も、近いのかもしれませんね。

まとめ

さて、今回はスマート製品の4つの段階の最後である『自律化』を説明しました。自動化ではなく自律化です。機械が自ら行動を考えることができる、より進むと人間が操られるようになるかもしれませんね。

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