IoTで必要な技術

IoT

愛知県稲沢市在住の【中小企業診断士✖️IoTプロフェッショナルコーディネーター】が、ものづくりの楽しさを簡単にやさしくお伝えする《いなきたものづくり・がちゃラボ》です。

今回はIoTを実際に実施しようとなった時、どのような技術が必要となるかお話しします。いま話題のIoTですが、企業の社長さんからは「IoTを使って業務改善したいけど、その方法が分からない」ということをよく聞きます。確かに、穴を開けるとか、ネジを回すような目に見える技術ではなく、見えない・見えにくい技術のため、イメージが湧きにくいかと思います。(もちろん、穴を開ける作業にも見えない技術はあるかと思いますが)
その点を考慮しながら、分かりやすくお伝えします。

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必要な技術はこの4つ!

IoT製品を作り出す、IoTシステムを作る、という場合、その開発に携わる技術者に必要な要件として、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が『IoT分野の人材育成動向と課題』という報告書の中で、次の4点を挙げています。

出典:IPA『IoT分野の人材育成動向と課題』より
  • ソフトウェアが分かる
  • ハードウェアが分かる
  • ネットワークの知識を有する
  • データが分析できる

IPAの報告書のなかでは「IoTに関連する人材の役割」として、上記の4つの要件が挙げられています。これら全ての要件を同時に持っている人材がいれば良いのですが、実際にはそんな人はほとんどいません。筆者もソフトウェアやハードウェアの知識はありますが、ネットワークやデータに関しては素人、勉強中です。

ソフトウェアが分かる

全ての知識を持ってる人はほとんどいない、と書きましたが、ただIoTを行う上ではソフトウェアの知識は必要だと考えています。

ソフトウェアの知識=プログラミングの知識ですね。2020年度の小学校や中学校の学習指導要領改訂では、プログラミングの基礎知識を学びましょうとなりましたが、あれは今後の社会はどんなものでもソフトウェアで制御されるので、その時に向けて小さな頃から学んでおきましょう、ということで改訂されました。

IoTの分野ではハードウェアとネットワーク、データを結びつけて処理・制御するためにソフトウェアが用いられます。そのため、理解度はマチマチかもしてませんが、関わる人すべてが何らかのソフトウェアの知識は必要となります。

ハードウェアが分かる

IoTの良くある構成として、センサーからデータを吸い上げる、そしてソフトウェアで処理してモーターなどを動かす、と、IoTシステムは簡単に言ってしまうと、このようになっています。

そのため、IoTシステムを構築する場合には、データを集めるセンサーや、動かすためのモーターなどのアクチュエータに関する知識が必要となります。センサーやアクチュエータのように目に見える機材をハードウェアと呼びます。もしくは、デバイスなどとも呼ばれます。

ある条件を満たしたら、例えば水位が所定以上になった、温度が一定値を超えた、こういう場合に警告ランプを点灯させたい、という要求があったとします。その時にランプに対してどのような信号を流すべきでしょうか。何ボルトの電圧を掛けたら良いのか、また何アンペアまで流したらランプが壊れないか設計をする必要があります。よって、ランプというハードウェアに関する知識が必要となります。

あるいは、『目で見て分かるように』という要求だった場合、ランプを使うのか、はたまたディスプレイを使うのか、そういったモノの選択を行うところが本来のスタートとなります。そのため、様々なハードウェア、デバイスを広く理解している必要もあります。

目に見えるものではありますが、種類や数もハードウェアは多いため、専門的な知識が必要となります。

ネットワークの知識を有する

IoTはInternet of Thingsの略でした。先程お話ししたセンサーやモーターがインターネットを介して情報のやり取りを行うシステムを、IoTと呼ぶことができるのでした。

このため、各種のモノを繋ぐためのネットワークに関する知識がIoTに関わる技術者に必要となります。

Internet of Thingsですが、使われるネットワークはインターネットだけではありません。社内のLANも含まれますし、bluetooth やwifiといった小さなネットワークも含まれます。無線もあれば有線のネットワークもあります。

実際にどのようにネットワークを構築するか、またどのようなネットワークを選択するか、IoTシステムの設計では必ず実施します。例えば、自動車の衝突検知システムでは高速なネットワークを採用すべきです。人を検出してからの反応速度が肝となるためです。
また、沢山のセンサーを農園で使いたい場合、より安価で長時間使えるネットワークを構築したいという要望があるかもしれません。

その時に、どのような通信規格にするか、パケットの構成はどうするか、またどのようなデータを流すかをシステムの設計者は考えなければいけません。

他にも無線を扱う場合には、法律が定められているため、それに違反しないかなど、法規制に対する知見も必要となります。

ネットワークという分野では、非常に広範囲にわたる知識が必要となります。

データが分析できる

センサーから上がってきたデータは、そのままの形で使われることはありません。温度が高くなったという温度情報をそのままモーターに送ってもモーターは回転しません。

過去の売り上げを入力して、そのままタブレットに表示していては、その入力という作業は何も意味が無く、無駄な仕事となってしまいます。(データは蓄積されるので無駄とまでは言いませんが)

センサーから吸い上げたり、ユーザーがパソコンを使って入力したデータは、お客さんやそのユーザー自身が欲しい情報に変換したり、取捨選択をして活用することが重要です。データサイエンティストと呼ばれる技術者もいますが、データを分析して、そしてどのように活用するかが、IoTでは非常に重要となります。

データサイエンティストに拘らなくても、コンサルタント、筆者のような中小企業診断士も数字・データには強い職業と言えますので、IoTでシステムを構築したいとなった場合には、こういった人を雇いデータを有効に使い倒す必要があります。

まとめ

このようにIoTには4つの技術が必要であり、それらを活かした製品設計やシステム設計を行います。しかし、この4つの技術は非常に大切で重要ですが、全てを兼ね備えた人材は、ほとんどいない、ということを知っておくことも必要です。そのようなスーパーマンにはほぼ滅多に出会えません。企業さんで間違っても、「4つの技術をマスターしている人」を採用しようとしてはいけません。

募集しても、絶対に応募は来ないでしょう。どれか1つの技術に特化している人を4人集める方が、きっと早いのかなと思います。ただ、その1つの技術をもった人材が、なかなか捕まらないのですが・・・この辺りは、また別の機会にお話ししようかなと思います。

ほかに、企業にIoTを提案する立場として、筆者のようなIoTプロフェッショナルコーディネーターや中小企業診断士といった人たちを活用してることも大切かなと思います。最後は、ちょっとしたアピールです(笑)。

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