【IoT】農業でIoTを始めるための3つのステップ

IoT

愛知県稲沢市在住の【中小企業診断士✖️IoTプロフェッショナルコーディネーター】が、ものづくりの楽しさをお伝えする《がちゃラボ》です。

先日、農業×IoTという事でスマート農業に関する記事を書きました。その中で、スマート製品やAI、ロボットなどを活用した、『未来の新しい農業』をお伝えしました。

ただし、最初からAIやロボットを使って「自動化だ」「省力化だ」と始めても、おそらく失敗します。そこで使うためのデータが無いからです。

マイケル・ポーター教授らが提唱した『スマート製品4つの段階』では、順番に段階を踏んでいく事が重要であるとされており、AI・人工知能を使った判断や制御はその最後の段階にあります。

人工知能を使って自動で制御する、自動で判断するためには、最初の段階である『見える化』が重要だと唱えているのです。見える化ができていないのに、次の段階には進めないということですね。

という事で、今回は農業のIoT化、スマート農業化に向けては、次のような3つのステップを踏んでいきましょうというお話です。

スポンサーリンク

まずは見える化。生育状況の可視化から。(ステップ1)

最初のステップ1は生育状況の可視化です。

作物を育てるためには、非常にたくさんのデータを使います。 ベテランの農家さんになれば、きっと経験や感覚というもので、作物に水や肥料を与えるタイミングであったり量を判断していると思います。

その裏付けとなるのは、その日の天気や気温・湿度、土の中の水分量や栄養分などの様々なデータです。

上記の絵は、ビニールハウス内のデータを集めるための仕組みです。

温度センサーや湿度センサー、土壌センサーなどを使いデータを集めます。センサーには無線機能を付け、その情報をコンピュータに送り集約します。

決して高額な機材は必要なく、以前の記事のようにラズベリーパイ(Raspberry pi)など安価なコンピュータやセンサーで十分です。

そして集めたデータは、皆さんの携帯やスマホと同じような3G回線や4G回線の電波に乗せて、インターネット経由で参照する、あるいはデータとして(クラウド等に)蓄積することができます。

スマホで見る事ができるので、非常に便利になりますね。

このようにたくさんのセンサーを活用してデータを取得する事がステップ1であり、スマート製品4つの段階の「見える化」に相当します。

次は自動化。水や肥料を自動で与えよう。(ステップ2)

ステップ1で得られたデータを活用して、自動で制御する事が次のステップ2です。

何を制御するかというと、モーターやバルブといったモノになります。例えば自動で水を散布するシステムを考えましょう。

まずはその日の気温や湿度、土の湿り具合から、最適な水の量を計算します。(状態によっては、水を与えないという場合もあるかもしれませんが…)

そしてホースの先に取り付けたバルブの開く量を変える事で、散布する水の量を変えます。どの程度バルブを開くかは、先ほど計算した最適な水や量を元に決定します。

別の例として、日除けを自動で制御するシステムを考えましょう。このシステムの場合、必要な情報(データ)はその日の気温や天気です。このデータを元に、どの程度日光を当てるか最適な光量や日照時間を計算します。

そして、屋根や遮熱シート(カーテン)にモーターを付けて、このモーターをコンピュータで自動で制御します。

暑ければ自動で屋根を開け、雨が降ってきたら屋根を閉める、こういった自動制御をデータを元に行うのがステップ2です。スマート製品4つの段階の「最適化」「制御」の2つの領域をカバーしています。

植物工場はこのステップ2の技術を詰め込んだものと言えますね。

最後はAI。人工知能を使って予防や改善まで実施。(ステップ3)

最後のステップ3は人工知能を用いた判定や改善です。スマート製品4つの段階の最後の段階「自律化」です。

ステップ1で温度や湿度といったデータを収集しましたが、そこにさらに遺伝子情報や画像といったデータも集め人工知能に学習させる事で、病気の診断や最適な収穫時期を判断することが可能となります。

出典:農林水産省「スマート農業について」より

上記は農水省の「スマート農業の展開について」という資料の中のAI活用事例の1つになります。AIによる画像診断を行う事で、病気や害虫の発生状況を的確に掴み、そして状況に応じた最善の手を提供する、というものです。

まさにAI、人工知能という感じですね。

これが実現されると、今まで経験者しか判断できなかったようなことが、誰でも同じように判断でき、更には問題に対する対策を立てる事ができます。後継者不足という、現代の日本の農業の問題点も解決できることになりますね。

これが最後のステップ3となります。ただ、個人の農家さんだとここまで導入するのは非常に難しいかなと思います。。。金銭的にも時間的にも。

さいごに

今回はスマート農業化に向けた3つのステップを説明しました。何においてもまずは見える化です。見える化なくして自動化もAI化もあり得ません。なので、簡易なシステムを作ってデータを蓄積するというところから始めてみてはいかがでしょうか。

コメント

タイトルとURLをコピーしました